やすのりさんの遺書
夕方の風景
冷たい風が頬をきり、藍色の夕日が長い影をつくる。
指先は芯まで冷たくなって、思わずはぁ~と息をかけた。
「まだまだいけるぞ!あきらめるにはまだ早い!」
「どんまい!どんまい!野球はツーアウトからだかんな!」
「こら~!いまのプレーはたるんでるぞ!」
「あきらめたら承知せんからな~!!」
小学の2、3年ぐらいだろうか、
4人の子供が2対2になって公園で野球をしていた。
その中で他の3人とは違って群を抜いた上手な子が、
1人だけ大声を出して皆を鼓舞させている。
どう見ても、その野球は単なる遊びのレベルであるにも関わらず
その少年はその野球を真剣勝負として捉えている。
他の3人とは明らかに温度差があった。
「まだまだいけるぞ!あきらめるにはまだ早い!」
そう言われてもな・・・。という空気が遠くから見てる僕にも伝わる。
そのうち1人の少年が「もうや~めた!おまえ1人でやってろ!」
と言い残し、2人を連れて帰っていった。
その残された1人の少年が寂しそうに素振りを始める。
遠巻きで見ていた僕と眼が合い、その少年がバットを止めた。
「おじさん見てた?ボクまたやっちゃったよ。」
まだまだいけるぞ、あきらめるにはまだ早い・・・。
おじさんには届いたよ。
真っすぐで熱いこの少年と、本田吾郎をだぶらせていた。
2009年2月9日やすのり
※やすのりさんは現在存命中です。やすのりさんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。
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