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井端の思惑

昨夜の感動的なドラゴンズのサヨナラゲーム。
このドラマを創りあげたのは、ルーキー野本と、
現役ラストイヤーの立浪の新旧両選手だと思っていた。
そこに井端が関係していたとは・・・。

同点で迎えたドラゴンズ９回裏の攻撃。
簡単に２死となった中日は、
代打野本の３ベースヒットでサヨナラのチャンス。
次の井端は、フォアボールを選んで１塁へ出塁。
代打立浪でこの試合最大の山場を迎えた。
そこで井端は、２塁へ盗塁をこころみる。
１点入れば、サヨナラだけに、
この井端の盗塁は正直、
「？？？？」だった。
理由がわからなかった。
投手をかく乱させるためなのかなと思っていた。
しかしこの意味のなさそうな盗塁こそ、
サヨナラのドラマの要因でもあったのだ。

この盗塁の意味。
井端は二つあったと試合後にコメントした。
ひとつは、フォースプレーをなくすこと。
びっくりした。なるほどと思った。
仮に深いショートへのゴロだった場合、
１、３塁であれば２塁フォースアウトでチェンジになってしまう。
盗塁をして２、３塁であればそれは避けられる。

ふたつめ理由。
さらに驚愕の世界！！これこそプロだと認識させられた。
２塁、３塁になることにより、２塁ランナーをホームに返させないため
野手は本能的に前に出て守ってしまうことを狙った、と言うのだ。
その思惑、読みがピタリとはまった。
立浪の打球は、１歩前に守った赤松の懸命に差し出したされたグラブを、
ほんのわずかにかすめ、ぽとりと落ちた。

選手の本能まで考慮したプレー。
清志郎氏がドラゴンズの好きな理由として、
「派手さがないから」とコメントしていたが、
まさしくこれが正にドラゴンズらしい派手さのない
ナイスプレーだと思う。

2009年5月8日やすのり

※やすのりさんは現在存命中です。やすのりさんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。