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楽に見られる日本シリーズ

「３球ぐらいですね、本気で投げてたのは」
試合後、女房役であるキャッチャー鶴岡がコメントした。

その日投げた球数は８７球。
そのうち本気で投げたのがたったの３球だという。
そんな超エコな投球で、あの強力な巨人打線を
６回まで７安打の２失点に抑えてしまった
今や球界のエース、ダルビッシュ有。
左腰や右肩の不安を抱えたまま登板するのも驚いたが、
見るからに力を抜いて、人をあざ笑うかのような
スローカーブでかわすダルビッシュの投球に度肝を抜かれた。

ダルビッシュといえば、
まったく野球に興味のない人でも名前と顔が一致する
日本プロ野球の数少ないプレーヤーであろう。
中日にはそういう選手は、残念ながら見当たらない。
立浪の顔を知らない日本国民は大勢いると思われる。
今年ドラフトで菊池を外すし、
来年の目玉であるハンカチ王子も
早稲田とのコネクションがない中日は苦戦するであろう。
いつになったら中日に華のある超スター選手が現れるのだろうか。

今年の日本シリーズは、
負けた時のどこに向けていいのか分からない喪失感や、
勝った時のアドレナリンが逆流するような高揚感はない。
しかし野球を純粋に楽に見られるので、案外気に入っている。
明日からの第３戦も本当に楽しみである。

2009年11月2日やすのり

※やすのりさんは現在存命中です。やすのりさんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。