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フォア・ザ・チーム

前夜、来てくれることを願って
お守りを握りしめて眠りについた。
朝起きたとき枕元にあったバット。
「あれ？この間、店でふってみたバットと同じ？」
不思議そうに息子は呟いた。

そのクリスマスプレゼントである真新しいバットで
臨んだ今日の練習試合。
試合前のバッティング練習は
ホームランを含め絶好調。
意気揚々と試合に臨んだ。

その試合、チームは勝利したものの、
自分の打席はすべてフォアボールであった。
塁には出たが、不完全燃焼に終わった。
試合後、少し意地悪な質問をしてみた。
「試合に勝つのと、ヒットを打つのと、どっちが嬉しい？」
息子は即座に答えた。
「そりゃヒットに決まってる」

中日の井端が来期、首位打者を狙うと宣言した。
チームより個人を優先するとまで言い切った。
よくプロ野球選手が、
「何よりもチームの勝利を優先する」とコメントする。
確かに野球には犠牲バント、犠牲フライ、進塁打など
自己犠牲精神が存在する。
しかし自分が活躍せずにチームが勝って嬉しいのか。
自分が貢献せずにチームが優勝して満足するのか。
単純にそういった疑問が残る。

息子の言葉と井端の宣言が耳から離れない。
しかし本番に弱いところは父親に似てしまっている・・・。

2009年12月26日やすのり

※やすのりさんは現在存命中です。やすのりさんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。