やすのりさんの遺書
真夏の草野球
「次の最終回、ピッチャーお願いします」
コーチから笑みを含んだ瞳で告げられた。
いつもなら
「とんでもない」
と言って断ったろう。
もともと自信家ではまったくない。
その逆の人間だと認識している。
しかしその日は、なぜだが分からないが、
根拠のない自信があった。
最初のバッターは初球を打ってくれサードフライ。
簡単に1アウトがとれた。
がしかし、ここからストライクが入らない。
フォアボールや安打などで満塁になる。
次のバッターにヒットが出ると逆転される。
試合後、
「あの場面は緊張したでしょう」
と何人からも言われた。
しかしまったく緊張してなかったし、
なぜだか抑えることができると思った。
なぜだろう、自分でもわからない。
自信というよりは予言といっても良いかもしれない。
なんだか不思議な感覚だった。
最期のバッター。
少しでもその打球が、横にそれてたら逆転されていた。
しかし完全にミートされたその強いライナーの打球は
サードの真正面でグラブに収まった。
1・4・3のダブルプレーを完成できた。
センター前にクリーンヒットが打てた。
最終回、なんとか抑えることができた。
「野球って楽しいな」
帰りの車で私が言うと、
「楽しいに決まってんじゃん」
と息子が言った。
2011年7月16日やすのり
※やすのりさんは現在存命中です。やすのりさんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。
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