レッド石黒さんの遺書
ウィ・ウィル・ロック・ユー
小学校6年生の時、放送委員なる役職に就いてた記憶があります。
何をやっていたかというと、給食時間に「お昼の学校放送」と称して音楽やラジオドラマを校内に流す仕事。
あんまり憶えてないので、大した働きもしてなかったんだと思いますが、ひとつだけ鮮明に憶えている出来事があります。
当時の自分はビートルズやビーチ・ボーイズを聴いて浮かれていた、酸いも甘いも分からぬミーハー小学生でした。
ある日、ラジオでクイーンのニューアルバム「世界に捧ぐ」を耳にします。
シングルカットされた「伝説のチャンピオン」もさることながら、アルバムの1曲目を飾る「ウィ・ウィル・ロック・ユー」には脳天にパイルドライバーを食らったかのような衝撃を受けました。
足踏みと手拍子のリズムが延々とループする中で、アカペラのように歌い上げるフレディのボーカル。
ボーカルパートが終わって、後半待ってましたと唸りを揚げるブライアン・メイのギター。
まさに「ロック・ユー」されちゃった感じです。
これはみんなに聴かせなくちゃ、と録音したテープを持って翌日学校へ。
給食を頬張りながら全校児童が「ロック・ユー」してる図をイメージしながら大音量でテープを回しました。
「世界に捧ぐ」から何曲かと、エアロスミスの「ドロー・ザ・ライン」から何曲かをチョイスした、20分間ほどのオンエアだったと思います。
ある種のカタルシスを感じながら放送室から教室へ帰っていく途中、担任の教師に呼び止められました。
それから掃除時間の間中、職員室で理不尽な説教を受けることになります。
「音楽をかけてもいいとは言ったが、ロックをかけていいとは言っていない」
「1年生の児童があれを聴いて理解できると思うのか」
そんな内容だったと思います。
理不尽な教師に反論するエネルギーを持ち合わせていなかった当時の自分は、ただただ頭をうなだれ、黙って話を聞いていました。
それ以来放送室とは疎遠になり、お昼は能天気な歌謡曲が流れる中、黙々と給食を食べ続けました。
ちょうどジョニー・ロットンが「ロックは死んだ」と言い放った頃の出来事です。
******************
あれから30年が過ぎ、小学校の思い出の大半は、もはや遠い記憶の彼方です。
我が母校はと言うと、少子化が進む今もしぶとく健在で、現在運動会の練習が毎日繰り広げられています。
仕事柄朝が遅く、家から小学校まで100mも離れていないため、まだ眠い最中、運動場に集められているのであろう子どもたちと教師の叫び声が嫌でも耳に飛び込んできます。
今日はどうやら入場行進の練習のようです。
「1、2、3、4!」と子どもを誘導する教師の声が、スピーカーから近隣にこだましています。
「それじゃあ、音楽を流しまーす。先生はリズムを取らないから音楽に合わせて行進してくださーい!」
ここまで読んでいただいた方はもうお察しのことと思いますが、流れてきたのは他でもない足踏みと手拍子のリズム。
紛れもなくあの「ウィ・ウィル・ロック・ユー」でした。
・・・もうね、アホかと。
馬鹿かと。
毎日うさぎ跳びを強いられ、部活の間にこっそり水を飲んでは怒られていた世代として、あの頃の教師に小一時間問い詰めたいことはたくさんあります。
2008年9月24日レッド石黒
※レッド石黒さんは現在存命中です。レッド石黒さんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。
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