レッド石黒さんの遺書
パッチギ
今さらながらビデオで『パッチギ!』を観ました。
井筒監督の作品は敬遠しがちだったので、これまで観る機会がなかったのですが、先日の加藤和彦さんの訃報を機に観てみようと。
そして今さらながら、とてもとてもいい映画でした。
20年ほど前、はじめて韓国に行きました。
まだ日本の歌がタブーになってた頃です。
フォークギターを日本から持ち込んで、今はなき旧朝鮮総督府の前で「戦争を知らない子供たち」を歌いました。
歌いましたと言っても、1曲歌いきる前に警官だかガードマンだかに取り押さえられてしまったのですが。
わざわざギターまで持ってって、ものの3分足らず。
何やってんだかなあ、とベンチに座ってタバコ吸ってたら、そんな様子を見てた地元の男の子たちが声をかけてくれました。
日本語で。
日本のこといろいろ知りたいからおしゃべりしましょう、って。
聞けば韓国の高校では第二外国語で日本語を選択できるらしい。
勉強したから、と、とても流暢な日本語でいろんな話を聞かせてくれました。
コーヒーを飲みながら、彼らの住んでいる土地で、彼らの言葉ではない日本語で会話をしてもらってることを恥ずかしく思ったのは言うまでもありません。
それから日本に帰って、一生懸命ハングル語を勉強したのを今でも憶えています。
あれから20年。
ワールドカップが共同開催されたり、韓流スターが人気になったり。
時代はちょっとずついい方向に向かっているのかもしれません。
とは言うものの、あの忌まわしい侵略の歴史は、教訓として決して忘れてはいけないと思います。
そして忌まわしい侵略の歴史の後、一生懸命それを乗り越えようとしてきた彼らや『パッチギ!』の主人公、康介のような人たちのことも同様に忘れてはいけないんじゃないかと。
歌は直接的な変革の力にはならないかもしれないけど、目に見えない大きな壁を乗り越える力は確実に持っていると、今でもずっと思っています。
加藤和彦さんの冥福を祈りつつ。
2009年11月18日レッド石黒
※レッド石黒さんは現在存命中です。レッド石黒さんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。
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