悪狗陀 狸人さんの遺書
鍼灸にできること その1.
鍼灸師の国家資格を取って4年が経ち、
開業してから1年が過ぎた。
まだまだ、人のカラダについてはわからないことだらけで、
でも、ここらへんで初学者なりの考えをまとめておこうかな、
とも思った次第。
私が演劇やら、鍼灸やらを志した理由は
ほとんど立花隆著『生、死、神秘体験』のまえがきが
代弁してくれているので、ここでは割愛します。
なんともまとまりのない文章になりそうな気がするのだけど、
それはそれで現在の自分が見えてくるのでは、との想いから
駄文を列ねてみることにした。
もし明日、私がこの世から去ることになれば
これこそ私の「遺書」と言えるかもしれない。
こんな場を与えてくれた、「bochi」に感謝しつつ…。
◆ 総論「ヒトは“動く物”である」
「健康」とは何ぞや。
「それは健康であるということを意識していない状態、
のことをいうんだ」と定義した先生がいた。
呼吸法について尋ねると一笑にふす先生がいた。
「生きているんだから呼吸は自然とするでしょ、
そんなことを考えてするのは可笑しいでしょ。
鼻から吸って口から吐く、これで充分。」
でも先生、丹田を意識して腹式呼吸とかが大事なのでは…。
「うーん、丹田というのはね、
仙腸関節が動かせる人がはじめて意識できるものだよ。
それで命門に火がついて丹田を意識できるのだよ」
そうか、私は(というか大部分の人)
仙腸関節を動かすことはできない…。
私たちはカラダについて、頭で考え過ぎなところがある。
ところが肝腎要なところを忘れてはいないだろうか。
それは、私たちは「動物」である、
ということだと思う。
人は「動物」でもあり、なおかつ社会的な存在でもある。
ここで、動物とは自然であり、
社会とは反自然と定義してみることにする。
社会とは自然の法則とは別に、
人の決めた妄想ルール(お金とか、法律とか)に従って
生きる時間空間のことである。
いま、私たちのカラダはほとんど、文明社会に属している。
ゆりかごから墓場まで私たちを管理しているのは、
実は国家(厚生労働省、ね)なのである。
ところで私事になってしまうのだけど、
こないだ93歳で他界した祖母は、
最後の一年は寝たきり状態で、
関節が抗縮(動かさないので硬くなってしまい、
可動域が狭くなる)
してしまってお棺には仰向けで入れることができず、
動かない関節を折れないようにたたみました。
彼女は2回目の大腿骨骨折以降、
車椅子で介護され
次第に日常生活では歩かなくなってしまいました。
(歩けなくなった、というニュアンスとは違うと思う)
そこから老化がはじまっていったと思うのです。
(その頃の私はまだライセンスどころか、鍼灸の門も叩く前で
知識も技術も無力で祖母に対しては何もできませんでしたが)
もし、祖母が車椅子に乗る前に
私が鍼灸を学んでいたら彼女に
歩けなくなることの意味について彼女に話をして、
歩けるような治療をしたと思うのです。
つまり、歩かなくなることで、動かなくなることで、
人は動物としての死に一歩近づくのだと。
人以外の自然界の動物では歩けなくなること、
イコール死を意味します。
自分で動いてエサを獲りに行くことができなくなるからです。
エサを食べないと動物は死んでしまうからです。
もういちど私たちが意識しなければならないのは、
私たちが「動物」であるということです。
そして、動く(立って歩く)ということ、
動かなくなるということが
何を意味するか考えるべきだと思うのです。
いま、脳血管障害の患者さんを診る機会があります。
右の手足が麻痺して充分に動かすことができません。
彼にとってリハビリはとても痛くて辛いです。
(障害部位にもよりますが)かすかにでも、
なんとか動かすことができる人は、
動かすことが良い方向にいく近道だと思います。
膝痛のお婆さんもいます。
お医者さんで診てもらうと膝の器質的な異状はありません、
でも彼女は膝が痛いのです。
鍼灸の治療や自分でお灸をすえることで、
痛みがやわらいでくれば歩いていいのです。
大事に使わないでいると、
余計に硬くなってくるからです。
私は「刺絡」という鍼の治療もします。
「刺絡」というのは、血脈の滞りに対して
鍼で刺して悪血を絞る方法です。
私の「刺絡」の師匠が言いました。
曰く「生きている人と死んでいる人の違いは、
血が流れているか流れていないかだ」。
動かせばそこに血が流れ、温かく柔らかくなります。
できるだけ車椅子のお世話にならないために、
寝たきりにならないように、
「ヒトは“動く物”である」と意識するべきだと
私は思います。
そして、歩けないという状況を避けるために、
歩けるようにお手伝いするために、
鍼灸(含め医療)があるのではとも思います。(つづく)
◆言いたいことばかり言ってます。
次回は生病老死、死生観のことを書く予定です。
ご批判、反論ありましたら忌憚ない意見を、
ミクシイではありませんから、bochiですから。
2009年4月19日悪狗陀 狸人
※悪狗陀 狸人さんは現在存命中です。悪狗陀 狸人さんの一般公開遺書アーカイブはこちらです。
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